認知症の種類|覚えておきたい8タイプの特徴まとめ

アルツハイマーだけじゃない

認知症といっても、色々なタイプがあります。

脳の機能が低下していく点では同じですが、認知症のタイプによって症状にも特徴があったりします。

認知症の種類は、医師にとって診断や治療を行う中では超重要なポイントなのですが、私たち一般人はあまり真剣に考えることがありませんよね。

認知症=激しい物忘れくらいに思っている人も多いはずです。

もちろん、実際に自分や家族が認知症になった場合は、専門の医療機関で正確な診断を受けるわけですが、認知症の種類によって症状の出方が異なることは知っておいたほうが良いかもしれません。

特に前頭側頭型認知症(ピック病)などは一般的な認知症のイメージとは異なり、記憶障害よりも行動変化が先に出るケースなどもあるからです。

中には治療が可能なケースだってあります。

ただし病名などは難解なものが多いですし、個人的には細かい分類を覚える必要はないと思います。

なんとなくでも、色々なタイプの認知症があり、症状にも違いがあり、治療方法も異なる場合がある、といった感覚を持っておけば十分だと思います。

そこで今回は8種類の認知症の特徴や症状などをまとめてみました。

とはいえ、難しい言葉もあるので、さらっと読んでいただければOKです^^

アルツハイマー型認知症

認知症の約70%を占めるのがアルツハイマー病の進行によって認知症になるケースです。

アルツハイマー病は脳内にアミロイドβというタンパク質が蓄積していくプロセスで周辺の脳細胞が壊れていく病気ですが、現時点でも原因やメカニズムには不明な部分も多いようです。

アルツハイマー型認知症の特徴としては、脳の頭頂葉(頭頂部にかけての部分)が侵されやすく、記憶をつかさどる海馬(かいば)周辺もダメージを受けやすいと言われています。

そのため記憶障害が起こりやすく、特に新しい物事を記憶する能力が低下する傾向にあります。

これは海馬の機能低下が影響していると思われます。

海馬がうまく機能しないと、新しい記憶を作り出すことができないからです。

一方で、昔の記憶はある程度残っていることが多いのも特徴です。

その理由は、海馬は新しい記憶を作る働きをしますが、既に出来あがった記憶は海馬の手を離れ、側頭葉(頭のサイド部分)など、脳の他の部位に保存されているからです。

頭のてっぺん部分にあたる脳の頭頂葉は情報の空間的処理を司る部位でもあり、アルツハイマーによって空間認識能力も低下しやすいと言われています。

道に迷いやすくなったり、運転が急に下手になることもあります。

アルツハイマー病を考える上では、20年前後の長い期間を経て認知症に至るというのがポイントです。

認知症を発症するのは60代や70代になってからが多いのですが、アルツハイマー病自体は何十年も前からゆっくり進行しているということです。

アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβの蓄積は、早い人では30代や40代頃から始まっているからです。

気づいた時には手遅れの可能性もあります。

将来のリスクを把握したい場合は、早い段階で医療機関を受診することも検討してよいかもしれません。

アルツハイマー病は、アリセプトに代表される治療薬によって、ある程度(数年分程度)症状の進行を遅らせることも可能と言われていますが、現時点では根本的な治療は不可能とも言われています。

ただし根本治療はできなくても、現在では薬以外にも、食生活、トレーニングなど色々な方法論が研究されていて、認知症の予防・改善のデータも蓄積されてきています。

原因不明の病気だからといって、全く手の打ちようがないわけではありません。

脳血管性認知症

認知症の1~2割を占めるのが脳血管性認知症です。脳出血などの脳内の血管トラブルをきっかけに周辺の脳細胞が破壊されてしまうことで、脳機能に問題が発生するケースです。

脳血管トラブルの起こる場所によって認知症の症状も変わるため、ところどころボケているという意味で「まだらボケ」という通称もあります。

特徴としては、アルツハイマーほどは記憶障害は目立たず、うつ気味になったり、感情の起伏が激しくなる、だらしなくなるなど生活態度の面で影響が出やすいと言われています。

脳内の血管トラブルが原因なので、事故などを除けば、動脈効果対策・生活習慣病対策がそのまま脳血管性認知症対策になります。

また脳卒中の後遺症として認知症が発症した場合はリハビリによってある程度の改善が見込めるケースもあります。

レビー小体型認知症

レビー小体(れびーしょうたい)って、名前から難しそうな響きがありますが、実際に診断や治療も難しいようです。

メカニズムとしては脳内にレビー小体という物質が発生することで脳細胞の萎縮が起こると言われています。

レビー小体型認知症に最も特徴的な症状として、比較的初期段階から幻覚が見える『幻視』があります。

幻視のメカニズムとしては、レビー小体型認知症は、脳の後頭葉(頭の後頭部の部分)の血流低下が起こりやすいことが原因だと言われています。

後頭葉には視覚を司る視覚中枢が存在するので、視覚機能にトラブルが起こる結果、見えないはずのものが見えたりするというわけです。

おそらく、幻覚が見えるというと、非常に恐ろしいイメージを持ってしまいますよね。(麻薬=幻覚というイメージがあるからかもしれません)

実際に認知症自体は恐ろしいわけですが、大切なのは必ずしも『幻覚が見える』=症状が重いわけではないということです。

認知症のタイプによって症状の出方には差があるということは十分に知っておく必要があると思います。

またレビー小体型認知症は、パーキンソン病と似た症状が同時に現れやすいことも特徴です。

パーキンソン症状としては、筋肉が固くなり、動作がぎこちなくなる症状で、手足の震えや無表情などが現れます。

パーキンソン病型認知症

パーキンソン病から認知症へ進行するケースもあり、その場合はパーキンソン病型認知症と呼ばれています。

ただしレビー小体型認知症とパーキンソン病のメカニズムはよく似ていて、兄弟のようなものと言われています。

両方とも原因物質は同じ(レビー小体)で、それが脳のどこに蓄積されるかによって症状が異なるようです。

長期的にはレビー小体型認知症が進むことでパーキンソン病の症状が出るようになったり、パーキンソン病が進行するこでレビー小体型認知症の症状が出るという連続性があります。

ただし、パーキンソン病であればLドーパなどのドーパミンを増やす薬が有効ですが、レビー小体型認知症に同じ治療が有効なわけではないんです。

原因が同じでも症状が異なり、それによって治療方針が異なることがあります。

症状が同じでも原因が違えば、やはり治療方針は異なります。

だからこそ、原因についても症状についても、ある程度知っておくことが大切だと言えます。

前頭側頭型認知症(ピック病)

前頭側頭型認知症(ぜんとうそくとうがたにんちしょう)は、従来『ピック病』と呼ばれてきた疾患を含め、色々な原因によって前頭葉と側頭葉に萎縮が見られる場合の総称です。

とりあえず、この長ったらしい名称どうにかならんのかと(笑)

前頭側頭型認知症とは、その名の通り、脳の前頭葉と側頭葉を中心に脳細胞が萎縮していく状態です。

要するに脳のおでこ部分とサイド部分が萎縮した状態です。

もっともメジャーなアルツハイマー型認知症は、頭頂葉(てっぺん部分)を中心に萎縮が進むので、アルツハイマー型と区別するためという意味合いもあると思われます。

前頭側頭型認知症の特徴としては、記憶障害などの、いわゆる「知能」の障害よりも先に性格上の変化が現れることです。

・人の気持ちが分からなくなり、気配りもできなくなる
・だらしなくなったり、仕事をしなくなる
・本能的になり、怒りやすく暴力的になる
・万引きなど、社会のルールを無視した行動をする

といった特徴があります。

70歳未満の比較的若い段階で発症することも多く、知能面での障害がすぐには現れないため、発見が遅れるケースも多いようです。

そのため、社会生活上のトラブルが起こりやすい傾向があります。

認知症と診断された後も、介護の困難さ、ストレスの大きさにつながることが多く、対応に苦慮するケースが多いようです。

家族・友人などが必ずしも思考能力が衰えていなくても「急に性格が悪くなった」と思ったら、前頭側頭型認知症の可能性も疑ったほうが良いかも知れません。

医療機関での治療としては暴力性などを抑えるために「SSRI」などの抗うつ薬を使用することも多いようです。

アルコール性認知症

家族や友人、介護者など周囲の人間にとって非常にやっかいなのが、飲酒を原因とするアルコール性認知症です。

アルコールの長期間・多量の飲酒は脳に後戻りできない障害を引き起こす可能性があります。

アルコールの効果は実感としては誰でも経験から知っていますが、脳への影響としては特に理性を司る前頭葉を麻痺させる効果が高いと言われています。

前頭葉が働かなくなると、暴力的になったりします。笑い上戸、泣き上戸なども感情がコントロールできなくなるためだと言われます。

アルコール性認知症による脳機能の障害は、飲酒により起こる変化の延長線上にありますが、それゆえに周囲の人間にとっては迷惑極まりないタイプの認知症になります。

・思い込みが激しくなる(被暗示性)
・作り話を平気でする(作話)
・すぐに怒り出す(易怒性)
・嫉妬妄想や被害妄想

などの症状に特徴があります。症状が進行することによって、他の認知症と同様に、記憶障害、行動障害なども現れてきますが、性格や行動上の変化が先に現れると言われています。

そのため傍目には比較的正常に見えても、家族など周囲の人間には多大なストレスがかかる可能性が高いのです。

当然アルコール依存症でもある可能性が高いわけですが、依存症という部分でも問題を抱え続けることになります。

認知症発症後に施設に入居した場合、禁煙については比較的成功率が高いのに対し、アルコール依存症の場合、禁酒は非常に困難で、しつこくお酒を要求し続けるケースも多いようです。

アルコール性認知症になる飲酒量は、はっきりとは分かっておらず、いちおうの目安としてビールであれば1日500ミリリットル程度が適量だとされています。

アルコール性認知症を予防する方法は、当たり前ですがアルコールを控えることです。

飲酒によってアルコール依存症になるだけでなく、認知症にまでなるリスクがあることは知っておくべきかもしれませんね。

正常圧水頭症

「治療可能な認知症」の代表が正常圧水頭症(せいじょうあつすいとうしょう)です。

脳脊髄液という液体が脳室に溜まることで、神経細胞を圧迫してしまう症状です。

症状として、物忘れ、歩行障害、尿失禁などがみられるようです。

正常圧水頭症そのものの原因は分かっていませんが、大切なことは、専門の病院であれば発見も容易であり、手術によって高い確率で『治療可能』だということです。

慢性硬膜下血腫

脳内に血の塊(血腫)が形成されることで神経細胞が圧迫され、認知症の症状が出ることもあります。

その代表が慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)で、転倒などで頭部に衝撃を受けた後、2~3週間をかけて脳内で血腫が形成されていく症状です。

歩行障害や意識の混濁がみられます。

CT検査で容易に発見することができ、手術で治療することも可能です。

まとめ:知識は可能性を広げる

調査によって異なりますが、割合としてはアルツハイマー型が7割前後、脳血管性認知症、レビー小体型、前頭側頭型(ピック病)が1割前後というイメージです。

①アルツハイマー型認知症
②脳血管性認知症
③レビー小体型認知症
④前頭側頭型認知症
この4つで4大認知症と呼ばれます。

特にアルツハイマー型認知症が過半数を占めるため、一般的な認知症のイメージはアルツハイマー型認知症に偏ってしまいます。

ところが認知症=アルツハイマーと考えてしまうことで、認知症の兆候を見逃したり、最悪の場合、治療のチャンスを逃してしまうことも考えられます。

知識がなければチャンスもつかめません。

もちろん国家試験などを受験するのでなければ、細かい知識などを覚える必要はありません。

①アルツハイマー以外にも色々な認知症があること
②認知症の種類によって症状が違うこと
③認知症の種類によっては治療できる可能性があること

それだけ頭の片隅に置いておければ良いと思います。

難しい言葉や読みにくい部分もあったかも知れませんが、最後まで読んでいただきありがとうございますm(__)m